2021.04.26

広報しろたまり その9 つくったけど売れない

【(株)黒怒 佐野正則さん 現在は会長職をなさってます】

醤油屋に入ったときに、最初に先代に言われたのが、売ることを勉強しろ、でした。もともと職人タイプの先代、自らの経験からでしょうか、売ることの難しさを言いたかったようです。

売ることはつまり外へ出ること、一歩出ればもう自分たちの都合は通用しない世界、まずはわずかでも土地勘のある世界の方が歩きやすかなと、白醬油を使ってくださっている板前さんに、しろたまりを持っていって批評を聞くことからはじめました。

気持ちいいくらいダメ!笑
なんでそんなに高いんだ!や、塩角がキツイとか言ってた人が甘すぎるとか、結局慣れた従来品でいいと誰も買ってくれない。売れなければ次はつくれない。先代は、頑張れと丸投げ。笑

時代はまだ20世紀、当時の自然食業界は、路地裏の薄暗い店でなんとなく怪しい店主がジロっと睨んできそうなイメージがありました。(かなり誇張してます、業界関係者の皆さまごめんなさい)
私にはまったく未知の世界でしたが、価格が高くても中身が気に入ってもらえればなんとかならないかと、売れなくてもともと、知人の紹介で自然食品問屋業の(株)黒怒、佐野正則さんを訪ねます。

だいたい、社名が普通じゃない、黒く怒るってなによ。笑
佐野さん曰く、食品添加物など身体によくないものを黒と総称し、それに対して怒り続けることを使命として、食と性を起点に人間本来の暮らしを具現化することを会社目的としている、のだそうだ。逃げだしそうになる弱い自分にケリを入れながら留まり、田舎の醤油屋の若造が必死に教えを乞います。

私にとっては本当に幸運な佐野さんとの出会いでした。
しろたまりは、売れる売れないではなく、売るべき商品だと言ってくださったのです。
原材料のレベルアップの相談にも乗っていただきましたし、なにより最大の問題だった販売を助けていただきます。
一緒に行きましょうと、私を連れて東京大阪をはじめ行商の旅に出てくださり、有機野菜宅配の大地を守る会さん、らでぃっしゅぼーやさん、ポラン広場さん、各地の生協さんや小売店さんなどなど、数えきれないほどの商談先をご紹介いただきます。

同業者でライバルのはずなのに各地の問屋さんへも紹介され、直接やりなさいと言われました。

当時のこの業界は、多くの創業メンバーは元学生運動家の先輩たちで、チカラで国を変えることに限界を感じ食でこの国を再生しようと運動ベースで起業、それを飯が食える運動にしていこうとしていた人たちです。

オレたちの目的は、普通の街で普通に暮らすお母さんが、近所のお店で普通に買った食べ物が有機野菜と無添加食品だった、そんな世の中にすることで、それが達成されたときに自分たちの役割は終わるんだと、めちゃくちゃカッコいい先輩たちでした。

とはいえ、しろたまりは簡単に売れません。
先代の言うとおり、作ることと売ることは、まったく別の問題でした。
この話、延々と続きそうですが、のんびりお付き合いくださいね。

とりあえず次回また。

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