2021.04.09

広報しろたまり その4 職人の意地 原料編


(仕込蔵のある足助町大多賀 山々に囲まれた静かな集落)

ちょうどこのころ、名古屋郊外で自然食品問屋を営む佐野正則さんを、知人の紹介で訪ねた。
佐野さんは、溜醬油と白醤油という両極の醤油を使い分ける醤油文化に興味を持たれ、この後しろたまりの開発から販売まで、様々なご協力をいただくことになる。

まず、原材料の見直し。
当時仕入れる小麦や大豆はほぼ全量がアメリカ産だったので、とりあえずは国産に、これで少なくともポストハーベストリスクは避けられる。
物量が多く入手しやすかった北海道産からスタートし、その後、愛知経済連さんの協力で愛知県産に限定していく。
オーガニック小麦をどう考えるか、私は輸入よりも国産を優先したかったことと、小麦は国による逆ザヤ調整(国が安く輸入して我々に高く売り、その資金で国産を高く買い我々に安く売る国内農家保護政策)があるので個別農家と直接契約が難しく、農協経由の国産慣行栽培小麦を選んだ。このこと、今将来に向けて特定の地域で農協さんを巻き込んだ動きを計画中、うまくいけば逆ザヤ調整も利用できて契約栽培が面白くなるかもしれない。

それと塩。
工場で作る精製塩ではなく、日本人が食べてきた塩田の塩はあったが、高い。笑
原価が上がれば売価も上げざるを得ず、売れなくなるだろう。でも塩でこんなに醤油の味が変わるかと思うほど、これは大事だった。
結局、輸入原塩に国内工場で苦汁を加えたタイプでスタート、その後タイミングを見て待望の海の精に変更、同時に商品の値上もお願いした。

もうひとつ、仕込水。
水道水から井戸水に戻したかったが、担当保健所と意見が合わない。笑
そんなとき、前出の佐野さんが足助町でパーマカルチャの勉強会を開催され参加、当時の足助町助役小澤庄一さんと出会う。小澤さんの協力で、廃校になっていた足助町立大多賀小学校舎で素晴らしい水にたどり着く。
足助保健所を半年がかりで口説き落として、平成10年に日東醸造足助仕込蔵を開設、翌年から足助仕込三河しろたまりの販売がはじまった。

原料編はこんな感じで、つづきは醸造編へ。