2021.05.13

広報しろたまり その13 木桶復興にかける男たち2

日本木槽木管さん、関東の会社らしいですが工場が愛知県新城市にあり、問い合わせると営業の方が来てくださりお話を聞かせてもらいました。

木槽というのは主に水槽として使われる大型の木製タンクで、ビルの貯水槽などによく利用されるそうです。木で作ると結露しないのでカビが生えにくくていいのだとか。
で、醸造用にも作り始めたらしい。

私は新しい木桶が作れることに大喜び、早速詳細を打ち合わせて一本発注しました。それが写真の木桶です。
完全に円筒形なのでタガをはめることができませんから、ステンレスバンドを締め付けます。また、板と板が合わさる部分にはみな切込みがあるところも伝統的な木桶とは異なります。板材は地元の杉でお願いしました。
なかなかいい出来で、漏れもほとんどなく金属製のバルブも作業的には使いやすいようです。まずは一歩前進、将来も木桶仕込を続けられるメドが見えてきました。

と、そこへまた新しい情報が。
コレゾ賞という活動をしている平野龍平さんと知り合います。彼のことはいずれまた詳しく書きますが、全国の変人に詳しい人です。笑
小豆島で桶作ってる醤油屋さんがおんねんて、知ってる?

2013年、平野さんとふたりで醤油ソムリエ黒島慶子さんに案内をお願いし、小豆島のヤマロク醤油山本康夫さんを訪ねました。彼、見た目は普通ですが、筋金入りのヘンタイです。笑

木桶の需要激減で、とうとう大型の木桶をつくれる桶屋さんは最後の一軒になり、大阪は堺の藤井製桶所さんを残すのみ。
山本さんは子供たちの世代に木桶を残そう、作る桶屋さんが無くなるのなら自分たちで作ればいい、と堺の桶屋さんに弟子入りして自ら桶造りを学びます。

こういう面白いことをすると類は友を呼ぶんですね、彼のもとには全国からヘンタイたちが集まってきて、前年の2012年には、木桶職人復活プロジェクトが始まっていました。私は2014年の1月に、はじめて彼らの活動に小豆島で直接触れることになります。

醸造関係者以外にも様々な人たちがいて、そもそもこのプロジェクトの目的は木桶職人を復活させること、棟梁こと徳島の原田啓司さん、最年少職人だった宮崎光一さんの若い職人さんたちも加わっていました。彼らはやがて、きしな屋の岸菜賢一さんとともに結い物で繋ぐ会を結成、その活動を他の地域へも広げていきます。

若い職人さんたちが増えるかどうかは、彼らに仕事があるかどうか、つまりは醸造屋が新しい木桶を発注するかどうかにかかっています。
木桶にこだわっていいモノづくりをすることはもちろんですが、それをどうやって皆さんに知ってもらい、木桶仕込の醸造品を買ってもらえるようにしていくか。
作ることと売ることは別物。

さすがはヘンタイ、山本さんはタガフープを思いつき、世界選手権と銘打って一見ばかばかしい遊びを真剣にやりはじめ、マスコミの注目を集めます。
オトナが真剣に遊ぶと不思議な感動がありますよね、なんでこんなことしてるんですか?って聞いてもらえると、木桶の現状から復活にかける取り組みを伝えるきっかけになる、実に手の込んだヘンタイ的広告宣伝です。

ヘンタイ集団のネタ、
さらに続きます。