2021.06.10

広報しろたまり その18 しろたまり海をわたる4


写真はLAの展示会風景 おふたりの日本人女性は現地在住でお手伝いいただきました

営業で最もやってはいけないこと、売場がないのに商品を売ろうとすること。
例えば海外展示会に出展、いろいろ手を尽くして来場者にプレゼンして、気に入ったから買いたいと言われたときに、現地に販売ルートがなかったら?

今はまだ販売業者さんがないので、いずれまたご連絡しますっていうのか、せめて業者さんの候補くらいは用意して、ドコドコさんと交渉中なのでお客さんからも一声かけてもらえると商談がまとまるかも、とでもいうのか。とにかく販売ルートを先に考えておかないと、営業する意味がない。

日系のマーケットは日系商社さんのご協力で販売ルートができ、少しづつ動き始めることができました。でも、メインターゲットはアメリカのレストランや食品メーカー、小売店さんたちです。

日系商社さんと同行販売して気付いたことですが、彼らは完全な現地マーケットには弱い(失礼、過去の話です)ということ。同じエリアでも新規で米系のレストランへ商品を入れてもらうことは至難の業でした。

私がいきなりアメリカに現地法人を置き銀行口座を開いたのも、どうしても現地米系レストランへの販売窓口を自前で確保する必要があったからです。米系流通業さんたちに、こんな売れるかどうかわからない変な醤油を、いきなり扱ってもらえるわけがないし、たとえ扱ってくれたとしても多額のショバ代を要求されます。小口でコツコツ売るための窓口は自分で用意しようと。

契約社員のMさんの自宅が倉庫で、彼が受注を受け口座入金を確認して商品を発送します。3年目で年商300万円までいったのは、考えてみれば上出来だったかも。笑
結局、この3年間の取り組みでは、米系の流通業者さんとまとまった仕事はできませんでした。

ときは移って2015年ごろだったか、紹介を受けてアメリカ人の青年ふたり組が工場見学にいらっしゃいました。はじめは碧南本社、あらためて後日足助仕込蔵にも。彼らはサンフランシスコの販売業者さんで、お一人は元シェフ、主にレストランのシェフ相手のご商売だとか。大変勉強熱心で日本中を回り、大手流通が手を出していない隠れた優れものを探してるようでした。ようやく私にもチャンスが巡ってきたかも。笑

日本の醤油に関する知識が、ハンパなく凄いのに驚きました。製造工程も細かく説明する必要がなく、一を話せば十が伝わるような感じ。彼らにとっても白醤油は初めてで、米系レストランではまだほとんど知られていなくて、おまけにしろたまりは大豆不使用で小麦100%麹であることなどの独自性に興味を持ってもらえました。

結果、彼らが西海岸を中心に米系マーケットへの販売を広げてくれることになります。一升瓶のしろたまりが増えていき、レストランへの彼らの営業力の高さを認識しました。シェフ同士でしろたまりの特徴と使い方まで伝えられるからでしょう。

アメリカは広いので、少なくとも東海岸にも販売業者さんが必要です。今その候補になりそうなお話が出てきています。やはりアメリカ人シェフで、パンデミックから復活するNYのレストランへの力強い営業になるよう期待しています。

アメリカでの販売を拡大しながら、つぎはEUに行きたいと思っています。
我々の輸出は大げさに言うと日本の食文化の紹介だと思います。伝統を重んじるヨーロッパでこの変わった醤油がどう評価されるか、やってみればわかるかもしれない。