2021.06.29

広報しろたまり その20 しろたまりの加工品


(しろたまりとその仲間たち)

白醤油はそもそもプロ用の調味料です。たまり醤油文化圏だった三河尾張地域で、料理人さんが色をつけたくないときに使う醤油として生まれ、使われてきたからです。
地元でさえ、一般の家庭では日常的には使われませんでした。お正月のおせち料理や、お祭りのときの晴れの料理に使うくらいで、普段使いはほぼたまり醤油だったようです。
余談ですが、私が子供のころの年配の人たち、この地域ではしょうゆという言葉をほとんど使わずに、たまりと言っていました。それほどに、たまりに慣れ親しんだ土地だったのかと。

そのたまりの対極の醤油として生まれた白醤油、使い方にコツがあって、慣れないとちょっと使いずらいところがあります。
まず香りが特異で小麦麹独特の甘い香りですし、味もアミノ酸系の旨味が少なく、塩味と小麦からくる甘味がメインです。自然と、合う料理と合わない料理があります。
それにほとんど色がつきませんから、感覚的に入れ過ぎやすい。うっかり入れ過ぎたら最後、元々塩分は淡口醤油並みで高いし、アミノ酸系の旨味が少ない分だけ相対的に塩味を感じやすく、ストレートに塩辛くなってしまいます。

しろたまりをつくったときに、このような使い方の難しさを克服して、もっと一般の皆さんにも使ってもらえるようにしたい、どうしたらいいかあれこれと考えました。

結局、しろたまりと同時発売として、三河白だしをつくります。
コンセプトはしろたまりと同じ、国産原料・化学調味料保存料無添加・伝統製法です。しろたまりをベースに、枕崎産一本釣り本鰹節削りや道南産真昆布に愛知県産椎茸をそれぞれ釜で煮出して出汁をとり三河みりんと合わせた白だしで、クセのないシンプルな味を目指し、手軽に様々なお料理にお使いいただけるようにしたものです。

あとは順次、様々な用途別調味料をしろたまりベースで作ってご案内をしてきました。コンセプトはやはり国産・無添加・伝統製法で、しろたまりの良さを失敗なく味わっていただけるような、言ってみれば入門編のような位置づけの商品たちです。

濃口醤油もブレンドし、そばつゆとそうめんつゆをストレートタイプで、出汁感のいい甘さ控えめのタイプにしました。
鍋つゆも寄せ鍋とチゲでスタートして、旨塩麹鍋つゆとベジブロス鍋つゆをタカコ・ナカムラ先生とコラボで作ったりもして。

あとは150mlサイズの、うまいしろたまりをつかったシリーズ。
今まで商品化しただけでも20アイテムは超えると思いますが、今残ってるのは4つだけ! 卵焼きのもと、唐揚げのもと、卵かけご飯のたれ、目玉焼き丼のたれです。
このシリーズはホントにいろいろやりました。

消えていった仲間たち、
ドレッシング数種類、パスタソースもいろいろ、しろたまりポン酢や白そばつゆとか、ピンポイントな用途限定品から比較的汎用タイプまで、作っては廃版の繰り返しです。

この、うましろシリーズ一番の売れ筋はズバリ、卵焼きのもと!
その昔、関西の某TV番組で、しろたまりを取り上げていただいたことがきっかけになってできた商品です。
こんな変わったお醤油があるんですよ~的にご紹介いただき(醤油じゃないのですが)、その美味しさを伝えるためにスタジオで卵焼きを焼いて出演者全員が食べ、これは美味しい!っていう生放送だったのです。
放送中から弊社の電話が鳴り始め、数日間は大騒ぎになりました。かつてないような件数のご注文をいただき、卸出荷体制しかないメーカーが必死に小口発送しました。

と、一週間もするとまた電話がじゃんじゃんなり、クレームの嵐!
番組であんなに卵焼きが美味しくなる!って言ってたのに、不味くて食べれないじゃないの!とお叱りの電話ばかりです。
お話をよく伺うと、みなさん入れ過ぎてます。
色がつかないので入れ過ぎて、塩辛い卵焼きを食べさせられた怒りの電話!
レシピを入れておいても見ないで、普通の醤油と卵焼きのイメージで使われるんですね。

だったら、卵2個にこれを大さじ1杯入れて混ぜて焼くだけで、失敗なく美味しくなるように専用の調味料にしよう!となったわけです。製粗糖で甘味を足して、米酢と塩で味を締めただけの実に単純な調味料ですが。
ご家庭で卵焼きをつくる機会って、かなり多いのでしょうね。お弁当にも入れるから、冷めても美味しいように少し甘目にしてあります。

このシリーズはこれからもチャレンジしていきたいです。