2021.07.26

広報しろたまり その22 足助産小麦への長い道のり1


(当時の麦蒔きの様子 弊社伊東常務の若かりし勇姿)

足助仕込蔵がスタートしてしばらくした2006年、ふとした思い付きですが蔵の近くで小麦を作ってみようと思いました。
大事な材料なのに、小麦のことを何も知らないと気が付いてしまったから。笑

大多賀の皆さんに伺うと、何代か前まではここでも小麦を蒔いていたそうですが、今はもう高齢化で稲作も大変になっているとのこと。

お向かいの奥さんに、少しでいいので畑をお借りできませんかとお願いすると、草ぼうぼうになってるから使ってくれると助かるわと無償で一反ほど拝借、その年の10月に有志社員さんと一緒に、兼業農家の社員さんの指導で人生初種まきをしました。

小型耕運機でおこしてから、鋤鍬をふるって畝づくり、当時の主力品種だった愛知県推奨品種農林61号の種をまきました。
格好良く言うと無施肥無農薬栽培、実態はただのほったらかしで、翌年2007年6月には待望の刈入れです。
雑草の方が多いようなありさまで集落の皆さんからは笑われましたが、素人はそんなことではへこたれませんから、20キロ程度の収穫でも嬉しくて嬉しくて。

味をしめて、毎年やることに。
恒例化した毎年の交流会イベントと一体化して、小麦収穫祭とすればお客さまに麦刈体験もしてもらえるし、なんか楽しそう!
収穫した小麦は、通常使用する愛知県産小麦に混ぜて使いました。一回の麹づくりに必要な小麦は2トン、20キロではゼロがふたつ足りませんので。

高地のため、1月2月は畑はよく雪に埋まり、出たばかりの小さな芽は氷漬けみたいになりますが、春の雪解けとともに成長して、平地に比べてひと月遅れくらいで収穫できることが分かりました。

そもそも、しろたまりに使う原料小麦は愛知県産で、愛知経済連さん愛知県味噌醤油組合さん経由でもらっていますが、この当時で年間使用量が30~40トン、現在は50トンほどです。実際の産地は西三河地方の平野部が中心で、尾張西部地域の小麦も入るようです。農協さん経由では、流通の構造上それ以上細かい産地の指定ができません。

実は日本の小麦流通は少し特殊でして、国による管理がされています。簡単に言いますと、安い輸入小麦を我々は高く買わされ、そのお金を使って国内の農家さんからは国が高く買って我々に安く売ります。その結果、我々の仕入価格は輸入小麦と国産小麦がほぼ同程度になり、国内の小麦栽培農家さんを保護しているわけです。ガチンコ勝負をしたら、海外の大規模栽培にはコスト的に勝てませんから。

でもそのために、我々は農家さんと直接売買ができません。農協さんを通さないと上記の仕組みが使えず、我々が国の代わりに高く買う必要があり(現状のおそらく3倍程度か)、その費用は商品価格に転嫁せざるを得なくなってしまいます。

もし農家さんとの直接の売買契約ができれば、産地が明確になるとともに栽培方法も突き詰めることができるでしょう。生産者を特定したうえに有機栽培小麦を使うことも可能になるかもしれません。上記の仕組みを使いながらできる方法があれば!

このつづき、新しい展開のお話は次回に。